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ジョーヴェの丘

ジョーヴェは、木星(ジュピター)という意味で、12世紀にはこの名前が歴史に登場するくらい古い町で、標高300メートルくらいの小高い丘の上にドゥカーレ宮殿と、教会、そして街並みが広がっています。

麓の道路を走っていると、右手に広がる雲間から光が漏れ、神々しい瞬間を見ることができました。

つづら折りの道を自動車で上がっていくと教会が見えてきます。

そして、町の中心を抜け、西の斜面に砂利道を下りていくと、あたりは冬枯れた低い灌木があらわれ、Allogio Agrituristicoの小さな茶色の看板が現れました。

ほどなく、左手に、見なれたマークの看板が目に入ってきました。

奥には、アポディアのシンボルというべきアポディアハウス(勝手にこう呼んでいますが)がたたずんでいます!

アポディアとは、養蜂農家。

ここで、蜂を飼い、木々を育て、蜜を絞っているのです。

扉の奥からロッシ氏が顔を出しました。

僕は、覚えたてのイタリア語で自己紹介もそこそこに、お土産に持ってきた、藤原養蜂場の誠太さんから買い求めた日本在来種みつばちのたれ蜜とにごり蜜を渡しますと、無邪気によろこんでいました。

現在日本でも養蜂で使われるいわゆる西洋みつばちはイタリア種といわれるイタリア原産の品種改良版ですが、その蜜をお土産として持っていっても面白くないので、ヨーロッパにはいない東洋ミツバチの一つである、日本の原種の蜂蜜を珍しかろうと思って持っていったわけなのです。

ファサードをくぐった部屋はアトリエになっており、ちょっとした応接もできるように机と椅子が置かれていました。

イーゼルには彼が書いた絵が数点おかれており、西の窓辺の机には、絵具と絵筆がずらりと並んでいました。

画家であり、養蜂家、そして、化粧品づくり。

そのどれをとっても彼にとってかけがえのないライフワークです。

今回は、日本に向けて、アポディアとしてのヘアケアを開発するために訪れました。

オーガニックの基準を満たしながら、使用感のすぐれた、お客様に喜んでいただけるようなシャンプーに仕上げるため、意見の交換が続きました。

いつの間にか、夕闇が迫ってきており、夕陽が丘の下の斜面の向こうの山並みに沈んで、空がオレンジ色に染まっていました。

ロッシさんは、丘の麓のおいしいレストランを紹介してくれました。地元料理が最高にうまいとのこと。

あまり新しい店ではないが、味は確かだからいってみたらいい、と。

彼は、自分の描いた絵葉書を僕に渡してくれました。

それは、この場所から描いたジョーヴェの夕陽でした。

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